このお話は、私が物語を書きはじめて一番最初に書いたものでした。

完結とはなっていますが、第一部が終わっただけ。
6人の敵のうち一人を斃し、まだ謎も沢山残っています。

原稿用紙1300枚程に渡る、ただひたすらな憎悪の物語。
救いなどどこにもない、ドス黒い話がそこにはありました。



相当前に書いたものなので……。
一体、何を目指して書いたのか今ではよく覚えていません。

そして何を伝えたくて、何を込めて書いたのか。
それも今となっては分からないですが……。

自分でこのお話を読み進めていくと。
描かれていく「救いようのない現実」に自然と涙が出ました。



今回、第一部で凶悪な敵として登場した魔法使い。
彼女が追い詰められ、こんな事を云う場面があります。



そうだ、夢なんだ。 
これは夢なんだ。 
だって。 
だって。 
もし、生きとし生けるもの全てが平等だというのなら。 
もし、自分にも幸せになる権利があるのならば。 
神様は、こんなに酷いわけはない。 
神様が、こんなに無慈悲なわけないじゃないか。 
自分から普通を奪い。 
自分から年齢を奪い。 
自分から時間を奪い。 
そして、愛していた人までもを奪い。

そして今度は、この命までもを差し出せというのか。

嫌だ。 
嫌だ。

――死にたくない。

生きる権利。 
自分には、生きる権利があるはずだ。 
幸せになる権利があるはずなんだ。 



彼女達の祈りは、結局何も届かず。
愛していた人の事さえも忘れ、血みどろの戦いは続きます。

神などどこにもいない。
祈りなど届かない。

何もかもが全て無情であり。
そして、どれだけ叫んでも、どこにも何も届かない。

敢えて作品のテーマを上げるとしたら、そんな「虚無」……。
空虚な真実を書きたかったのかもしれません。



主人公の少女は、過去起きた凄惨な事件で人格分裂をしています。

過去編で登場する少女が精神を破壊され、別の人格を形成。
物語は、その形成された人格を主として進みます。

残念ながら過去の少女は完全に発狂しており。
彼女の夫は目の前で惨たらしい死を迎えています。

それは変えることの出来ない悲劇。
起きてしまった現実であり。

少女は、その復讐のために戦い続けます。



凄惨で目を覆いたくなるような戦いはいつまでも続き。
憎悪は消えることもなく。

その「不幸」も、決して薄れることはない。

では何を支えにして生きていけばいいのか。
何を支えに立てばいいのか。

様々なお話で、いろいろな意見があります。

しかしどれも裏を返せば、自己完結に結びつきます。
誰かが決めるものではなく。
誰かに決められるものでもなく。

どれだけ不幸だったとしても、生きている限り進まねばなりません。



おそらく、私がこの作品で表したかったのは。
その「虚無」に対する圧倒的な絶望。
不幸に対する消えることがない憎悪。

その、抱かなければならない「苦しみ」……。

多分それを、ただ表したかったのだと思います。
結果、物凄く長いお話になりました。



実は第二部が半ばまで存在しています。
しかし、それをまた紡ぐだけの力が今の私にはありません。

また、機会があれば。
この黒い話の続きを、掲載しようと思います。



最後に、虹は更紗を殺すことで救われたのでしょうか?

いいえ。
彼女は一つも救われてはいません。

更紗を殺すことで、彼女は癒やされたのでしょうか?

癒やされてはいないでしょう。
更紗の死は、何の意味もない、ただの「事象」なのだから。



それが、「現実」なのです。